歯周病予防

日本人が歯を失う原因の第一位
歯周病は、大切な歯を奪ってしまうだけでなく、全身疾患とも深い関わりがあることがわかっています。血管を通して歯周病菌が全身に運ばれることで、糖尿病や早産、肺炎など全身疾患を引き起こすこともあります。
早期に発見·治療すること、そしてなにより予防することが重要です。
〜歯周病の原因〜
歯の表面に絶えることなく形成される細菌性の膜をプラーク(歯垢)と呼びます。このプラーク(歯垢)が歯周病の原因です。プラーク(歯垢)は歯の表面ででき、プラークからの毒素が歯ぐきを攻撃します。歯の磨き残し等で歯ぐきのまわりに残ったプラークが炎症を引き起こすのです。プラークは本来歯と同じ色なので見つけるのが困難です。ネバネバですが軟らかく歯磨きで取り除くことができます。取り除かないと、石灰化して硬くなっていき、歯石がつくられます。歯石にはプラークが付きやすく、新しく軟らかいプラークがざらざらした歯石の上に急速に形成され、これが炎症を引き起こし進行していきます。
《歯周病の症状》
  • ▶︎ 歯ぐきが腫れる
  • ▶︎ 歯ぐきから出血する
  • ▶︎ 口臭が気になる
  • ▶︎ 歯がグラグラする
  • ▶︎ 硬いものを噛むと痛む
  • ▶︎ 歯茎が下がったように見える
  • ▶︎ 食べ物が詰まりやすい
  • ▶︎ 口の中がネバネバする
〜歯周病の進行〜
レベル1 歯肉炎
プラーク(歯垢)により歯肉に炎症が起きています。ブラッシングしたときに出血することがあります。
レベル2 軽度歯周炎
歯ぐきが腫れ、あごの骨が溶けはじめます。口臭が出てきます。
レベル3 中等度歯周炎
あごの骨の破壊が進み、歯周ポケットが深くなり、歯を舌で押すとぐらつきます。硬いものを咬むと痛みが出ます。
レベル4 重度歯周炎
顎の骨が半分以上溶けています。歯周ポケットがかなり深くなり、歯ぐきからは膿が出て口臭も増します。ここまでくると、歯のぐらつきが悪化し、そのまま放置すると歯が抜け落ちてしまいます。硬いものは食べられません。
〜歯周病治療の流れ〜
検査⇒診断⇒初期治療⇒再評価⇒(歯周外科治療・再生治療⇒再評価⇒)メンテナンス ()は歯周病の進行度や再評価時の状態に応じて
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検査・診断
主な診査の項目には次のようなものがあります。
▶︎プロ―ビング
プローブという器具を使って、歯周ポケットの深さを確認します。
▶︎レントゲン診査
歯槽骨(顎の骨)の状態を確認します。
▶︎口の中の汚れのチェック
プラークや歯石の付着状況を確認します。
▶︎喫煙について
1日に吸うタバコの本数と喫煙歴について問診します。
▶︎全身疾患についての問診
特に、糖尿病など歯周病に関連する全身疾患の有無と既往について問診します。
▶︎その他

診査結果をもとに、診断を行い、治療計画を立てます。
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初期治療
▶︎ブラッシング指導
自宅で行うセルフケアの質を高めるために、適切な歯の磨き方を指導します。きちんと磨けるようになることが、将来的に歯を長持ちさせる上で最も重要です。
▶︎歯石除去
歯石とは、プラークが石灰化してかたくなったものです。歯石は歯ブラシでは除去できないため、専用の器具で除去します。歯石には、歯肉より上にある歯石(縁上歯石)と、歯肉の下に隠れている歯石(縁下歯石)があります。
ポケットが深くなると、縁下歯石が歯根表面に付着しますが、歯肉の下に隠れていて直接見えないので、専用の器具を用いて手探りで除去します。
▶︎修復物(被せ物・詰め物)のチェック
修復物が歯にぴったり合っていないと、段差やギャップができて、プラークや歯石が付着しやすくなります。このような場合、段差やギャップをなくすため修復物の形を修正するか、修復物を新しく作りなおします。
▶︎咬み合わせのチェック
歯周病治療の基本はプラークコントロールですが、咬み合わせが悪く一部の歯に大きな負担がかかると歯周病が悪化することがあります。このような場合、咬み合わせの調整を行います。
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再評価
基本治療を行った後、患者さんのプラークコントロール、歯肉の状態をチェックし、再度ポケットを測ります。患者さんの清掃状態・歯肉の状態が良く、ポケットが浅くなれば、メンテナンスに移ります。
ポケットの深い場所に関して再度初期治療を行う場合もあります。
患者さんの清掃状態が良いにもかかわらず、ポケットが深い場合は、歯周外科治療を行います。
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歯科外科
基本治療でポケットが改善しない場合には、外科的な治療を行います。歯肉を切開し、歯根を露出させて、歯根に付着した歯石や汚れを除去します。 歯周外科治療では、歯肉の下に隠れていた歯石を実際に目で見て除去することができるので、確実に細菌を除去できます。また、治癒後はポケットが浅くなるので、プラークコントロールが行いやすくなるというメリットがあります。
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定期メインテナンス
継続して良い状態を維持するために、歯科医師のチェックと歯科衛生士による専門的なお口の清掃(クリーニング)を定期的に行います。メインテナンスの頻度は歯周病の進行状態や清掃状態により異なりますが、定期的に歯のクリーニングやブラッシングを行い安定した歯茎の状態を管理していくことが大切です。治療が終わった後に最低でも半年に1回は定期的にチェックを受けましょう。
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